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2026年1月1日、いわゆる下請法が変わりました。名前も、条文の中身も、呼び方も変わっています。取引先から届く書面の文言が急に変わって戸惑った方もいると思います。
資金繰りの観点で押さえるべきは、支払期日の上限と手形払いの扱いの2点です。ここが変わると、入金までの日数が実際に動きます。
1. 何が変わったか(名前と呼び方)
改正したのは「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」(令和7年法律第41号)で、施行は令和8年(2026年)1月1日です。
法律の名称は次のように変わりました。
- 旧:下請代金支払遅延等防止法(下請法)
- 新:製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律
長いので略称が使われます。e-Gov法令検索には、この法律の略称として「中小受託取引適正化法」「取適法」が登録されています。
呼び方も変わりました。「親事業者」は委託事業者、「下請事業者」は中小受託事業者、「下請代金」は製造委託等代金です。書面の文言が変わっているのはこのためです。
2. 支払期日は「受領日から60日以内」かつ「できる限り短く」
製造委託等代金の支払期日は、委託事業者が中小受託事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、委託事業者が中小受託事業者の給付を受領した日…から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない(第3条第1項)
ポイントは3つあります。
- 起算点は納品日(受領日)であって、締め日でも請求書の発行日でもありません
- 検査をするかどうかを問わずと明記されています。「検収が終わっていないから」は理由になりません
- 60日は上限であって目標ではありません。条文は「できる限り短い期間内において」と続きます
そして、守らなかった場合の扱いも条文に書かれています。
製造委託等代金の支払期日が定められなかつたときは委託事業者が中小受託事業者の給付を受領した日が、前項の規定に違反して製造委託等代金の支払期日が定められたときは委託事業者が中小受託事業者の給付を受領した日から起算して六十日を経過した日の前日が、それぞれ製造委託等代金の支払期日と定められたものとみなす(第3条第2項)
つまり「90日サイトで」と契約書に書いてあっても、法律上の支払期日は受領日から59日目とみなされます。そこを過ぎれば遅延です。
3. 手形を渡すことは「支払わないこと」に含まれる
ここが今回いちばん実務を動かす変更です。委託事業者の禁止行為を定めた条文を読みます。
製造委託等代金をその支払期日の経過後なお支払わないこと(当該製造委託等代金の支払について、手形を交付すること並びに金銭及び手形以外の支払手段であつて当該製造委託等代金の支払期日までに当該製造委託等代金の額に相当する額の金銭と引き換えることが困難であるものを使用することを含む。)(第5条第1項第2号)
手形を渡すことが、条文上「支払わないこと」に含まれると書かれました。期日に手形を切っても支払ったことにならない、という整理です。電子記録債権やファクタリングを利用した支払方法であっても、期日までに額面相当の現金に換えることが困難なものは同じ扱いになります。
「支払サイト60日+手形120日=実質180日」という商慣行は、この条文の下では成り立ちません。
4. 遅れた場合の遅延利息は年14.6%
委託事業者は、製造委託等代金の支払期日までに製造委託等代金を支払わなかつたときは、中小受託事業者に対し、中小受託事業者の給付を受領した日から起算して六十日を経過した日から支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該未払金額に公正取引委員会規則で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない(第6条第1項)
この「公正取引委員会規則で定める率」は年14.6%と定められています(令和7年公正取引委員会規則第9号・令和8年1月1日施行)。
減額された場合にも同じ率の遅延利息の規定があります(第6条第2項)。
5. 価格の協議に応じないことも禁止行為に
コスト上昇分の価格転嫁についても、条文に明記されました。
中小受託事業者の給付に関する費用の変動その他の事情が生じた場合において、中小受託事業者が製造委託等代金の額に関する協議を求めたにもかかわらず、当該協議に応じず、又は当該協議において中小受託事業者の求めた事項について必要な説明若しくは情報の提供をせず、一方的に製造委託等代金の額を決定すること(第5条第2項第4号)
「協議を求めたのに応じてもらえない」という状態そのものが、利益を不当に害する行為として整理されています。
出典:e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000120/同法第六条第一項及び第二項の率を定める規則(令和七年公正取引委員会規則第九号) https://laws.e-gov.go.jp/law/507M60200000009(いずれも2026年8月27日確認)
6. 自分の取引が対象かどうか
この法律は、製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託などの取引について、委託する側と受託する側の資本金の組み合わせで適用範囲が決まります(第2条)。すべての取引に当てはまるわけではありません。
自社の取引が対象かどうかは、契約の類型と双方の資本金額を条文に当てはめて判断します。判断がつかない場合や、対象なのに支払期日が守られていない場合の申告先は、公正取引委員会と中小企業庁長官です(第8条・第9条)。
7. それでも入金までの日数は変わらない、という場合
法律が変わっても、目の前の入金が早まるわけではありません。すでに納品済みで、支払期日まで日数がある請求書を現金化する手段のひとつがファクタリングです。
ただし手数料は決して小さくありません。年率に換算する記事の式で、期間をそろえてから判断してください。契約形態と売掛先への通知の有無については2社間と3社間の記事に、業者そのものの確かめ方は金融庁の注意喚起と法人番号の記事にまとめています。
オンライン完結型の一例として、株式会社アクティブサポートが運営する「QuQuMo(ククモ)」があります。法人番号は 9013301041158(国税庁法人番号公表サイトで確認・2026年8月27日)です。
※手数料や入金スピードについての記載は同社サイトによるものであり、当サイトが保証するものではありません。
よくある質問
下請法はいつ、何という名前に変わりましたか?
令和7年法律第41号により改正され、令和8年(2026年)1月1日に施行されました。名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」です。e-Gov法令検索には略称として「中小受託取引適正化法」「取適法」が登録されています。
支払サイトの上限は何日ですか?
給付を受領した日から起算して60日以内、かつできる限り短い期間内で定めなければならないとされています(第3条第1項)。検査をするかどうかを問わない、と条文に明記されています。
60日を超える支払期日を契約書に書いた場合はどうなりますか?
受領した日から起算して60日を経過した日の前日が支払期日と定められたものとみなされます(第3条第2項)。
手形で支払うのは違反ですか?
支払期日の経過後に手形を交付することは、第5条第1項第2号により「支払わないこと」に含まれると条文に明記されています。期日までに額面相当の金銭と引き換えることが困難な支払手段も同様に扱われます。
支払いが遅れた場合の遅延利息は何%ですか?
年14.6%です(令和7年公正取引委員会規則第9号)。受領した日から起算して60日を経過した日から、支払をする日までの日数に応じて計算されます。
最終更新:2026年8月27日/このページは公表されている一次情報(e-Gov法令検索・国税庁法人番号公表サイト・各社公式サイト)のみを根拠に作成しています。確認できなかった項目は「記載なし」と明記し、推測で補っていません。本記事は法律上の助言ではありません。適用範囲の判断は個別の取引内容によります。